営業マニュアル1

営業の自己啓発
7.知的財産権(知的所有権)
 営業活動を行う上で、知的財産権に対する理解と具体的対処は営業の常識となりつつある。

 一般に有体物(土地、建物、家具、商品、金銭等)にのみ財産権が1あると考えられがちである。人の精神的、知的創造活動から生まれた技術上の情報、営業上の情報・信用等の無形の物にも経済的価値があり、“知的財産権”と呼ばれる財産権がある。

 ビジネスモデル特許が他社に取られてしまえば自分が何年かけて準備してきたビジネスでも特許権者の了解なしには最早そのビジネスは出来ない。

 最近はビジネスアイデアの模倣防止、独占的使用のためにビジネスモデル特許を取るのが普通に成っており、簡単に他社使用の許諾はあり得ない。ベンチャービジネスの投資説明会等でも“ビジネスモデル特許”を押さえているかどうかが必ず問題になる。押さえていれば投資家にとってもより安心だからである。

 一般の営業の世界でも知的財産権は避けては通れないし、むしろ積極的に知的財産権を活用してビジネスの幅を広げ利益貢献に役立てていきたい。

(1) 知的所有権の種類

知的所有権 工業所有権 特許権(技術的なアイデア)
実用新案権(実用新案のアイデア)
意匠権(商品のデザイン)
商標権(商品・サービスのマーク)
著作権 著作権(財産権)(複製権、上映・演奏権、放送権等)
著作者人格権(公表権、指名表示権等)
その他 著名表示盗用行為(有名ブランドの無断使用)
不正競争防止法) 周知表示混用惹起行為(有名ブランドと同じか似た商標の使用)
商品形態模倣行為(先行商品の形態を模倣)
営業秘密不正行為(営業秘密を不正手段で取得・使用・開示)
原産地等誤認惹起行為(原産地の偽表示)
営業誹謗行為(競合会社倒産等の情報の流布)
代理人商標○○行為(総代理店契約終了後の商標継続使用)

                                                                ■知的財産権のサイト
▼知的財産権とインターネット
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/7506/
知的財産権の解説や法規制回避の新技術の説明などあり。インターネットで特許情報が検索できる

▼趣味の研究室 知的財産権編
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/7506/index.html
興味を持っている個人が制作。特許法条文、著作権の話題、関連検索機能など多彩なトピックスで構成されている。

▼知的財産権判決速報
http://courtdomino2.courts.go.jp/chizai.nsf/
東京高等裁判所、大阪高等裁判所、東京地方裁判所、大阪地方裁判所、名古屋地方裁判所の知的財産権関係の判決をレポート。

(2)ビジネスモデル特許
  最近やたら新聞等を賑わせているビジネスモデル特許とは、「インターネットや情報システムを使って考案、実現された新しいビジネスのやり方や仕組み」に認められた特許で、ビジネスの方式そのものに特許を設定してしまう方式である。
 1998年7月米国高等裁判所で下されたState Street Bank事件で、ビジネス方法も特許付与の対象となる事が示された。この判決を契機に世の中が「ビジネスモデル特許」のブームとなった。

 ビジネスのやり方は特許とはならないというのが、これまでのいわば常識であった。米国では航空券競売システム、オンラインショッピングシステム等が相次いでビジネスモデル特許を取得した。日本でも防衛上又は新規企業の立上げ期のインキュベート期間の保証として「ビジネスモデル特許」が重視されるようになった。

 今ではITベンチャー企業の大半が何らかの「ビジネスモデル特許」を取得しているか又は申請中である。

■ビジネスモデル特許のサイト
▼ビジネスモデル特許の現況
http://www.keieiken.co.jp/monthly/repo0004/0004/
NTTデータ経営研究所が提供するビジネスモデル特許の現況が掲載されている。米国特許庁や異分野からの参入についても言及。

▼ビジネスモデル特許の基礎
http://www.furutani.co.jp/office/ronbun/BPBasic.html
ビジネスモデル特許の定義、特徴、背景などを掲載している。特許の事例や図説、金融ビジネス用システムの特許性なども紹介。

▼ビジネスモデル特許に関する総合情報
http://www.ias.biglobe.ne.jp/patent/000115b-sougou.html
ビジネスモデル特許に関する国内・外の最新情報やビジネスモデル特許の研究を掲載。指針についての提言、例示なども満載。

(3)新規事業・新製品・他社タイアップ時の申請
  営業企画の仕事では新規事業の立上げ、新しいシステム商品・新しい仕組みでの販売、他社とアライアンスを組んでのタイアップビジネスの立上げ等“0”からスタートする仕事の立上に携わる事が多い。

 その時には社内の知的財産権の専門家又は専門の嘱託弁護士に良く相談し、この仕事は「ビジネスモデル特許」を取れないか、あるいはどう工夫すれば「ビジネスモデル特許」を取る可能性があるのか十分に検討を重ねた方が良い。将来性のある有望ビジネスほど狙われ易いので万全の体制で臨みたい。もし自社ではビジネスモデル特許を取らずにビジネスを開始し苦労してやっと軌道に載せた所で、他社がそのビジネスを包含する「ビジネスモデル特許」を取ってしまえば、そのビジネスから撤退するか法外な特許料を払うかの瀬戸際に立たされてしまう。

 将来の危険排除の意味からも、例え「こんなもの」と思っても「ビジネスモデル特許」は取得したい。ネットワーク系のベンチャーは極めて熱心である。

(4)プロパテント政策(ソフト関連発明に対する保護強化策)
  80年代の米国レーガン政権が取ったプロパテント政策により特許権の権利の範囲の拡大と共にソフトウェアに対する保護の拡大をもたらした。米国は国内のみならずWTO等の国際機関を通して世界中に働きかけを行った。

■プロパテントのサイト
▼日本のプロパテント政策
http://www.ias.biglobe.ne.jp/patent/SUB-Topi02-1.html

▼国際経済と知的所有権−21世紀はプロパテント時代
http://www1.odn.ne.jp/~cac23560/patnav/ipr/page6.htm

(5)インターネットとビジネスモデル特許の結合
 インターネットの普及に伴い、製品やサービスについての斬新なアイデアが比較的容易にビジネス化することが出来るようになった。資金面・人材面等で新規ビジネスへの参入障壁は極めて低く成っている。ソフトウェア保護強化のプロパテント政策とビジネスモデル特許はネットビジネスに対する強力なセーフティネットの役割を果たしている。

 ビジネスモデル特許を取ればアイデアは数年に亘って保護され、競争を排除し企業の設立、資金の呼び込み、ビジネスの成長が計れる。ビジネスモデル特許は今ラッシュ状態にある。

(6)ビジネスモデルの特許性
 一般にビジネスモデル特許を取るためには以下の4条件をクリアする必要がある。
 1.システム利用であること「情報システムを利用して可能となる仕組み」
 2.新規性があること「情報システムを利用したものとして初めて」
 3.進歩性があること「誰もが直ぐ考えつかないもの」
 4.有用性があること「便利さを明示できること」

 以上の他に「ビジネスモデル特許」となるためにはビジネスモデルそのものが明確に定義されていなければならない。
 1.市場モデル:顧客の特質、需要構造・性質に関するモデル
 2.戦略モデル:どの顧客にどう製品を提供するかのモデル
 3.競合モデル:ライバル、新規参入に対するモデル
 4.経営モデル:経営運営の基本構造を示すモデル
 5.収益モデル:収入を得る方法とコスト構造を示すモデル
以上のように中々手ごわい内容であり、ことの重要性も考えて、出来るだけ専門家を動員してスピードと完璧性を確保したい。

■インターネットビジネス特許サイト
▼松倉秀実 - I.P.World
http://www.asahi-net.or.jp/~gv8h-mtkr/
ソフトウェア分野の特許、商標などの知的財産やインターネットの法律問題についてのコメント。著者は東京の弁理士。

▼特許庁 - テクノトレンド
http://www.jpo.go.jp/techno/techonotrend.htm
バイオテクノロジーやビジネスモデル、インターネット関連ビジネス、エレクトロニクスなど特許から見た技術動向を紹介している。

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